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    故入野義朗生誕95年記念コンサート

    12音技法のマイルストーン

  • コンサート概要

    日時:2016年11月14日(月) 19:00開演 (18:30開場)

    会場:東京オペラシティ リサイタルホール

    全席自由席: 一般3,000円 学生1,500円

     

    曲目:

    全 入野義朗(1921-1980)作品
    ◆ピアノのための変奏曲(1943)
    田中一結(pf)

    ◆管楽五重奏のためのパルティータ(1962)
    鷹羽弘晃 指揮、下村祐輔(f l)、鈴木かなで(ob)、前山佑太(cl)、河野陽子(hn)、木村卓巳(bn)
    ◆ヴァイオリンとピアノのための音楽 (1957)
    中澤沙央里(vn)、佐々木絵理(pf)
    ◆凍る庭(1961)(混声合唱とピアノ)
    西川竜太 指揮、ヴォクスマーナ、篠田昌伸(pf)
    ◆フルート独奏のための3つの即興曲(1972)
    多久潤一朗(f l)
    ◆四大(1979)
    藤原道山(尺八)、黒澤有美(二十絃箏)、本條秀慈郎(三絃)、平田紀子(十七絃箏)

     

    主催:
    NPO法人JML音楽研究所、入野義朗生誕95年記念コンサート実行委員会

    委員:入野禮子、入野智江、吉村七重、莱 孝之、古川 聖、野澤美香、伊藤弘之、渡辺俊彦
    助成:ローム ミュージック ファンデーション、芸術文化振興基金、アーツカウンシル東京、公益財団法人野村財団
    後援:一般社団法人日本作曲家協議会、日本現代音楽協会、アジア作曲家連盟(ACL)
    マネジメント:東京コンサーツ

  • 入野義朗

    いりのよしろう

    Yoshiro Vladimir IRINO (1921-1980)

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    ウラジオストク生まれ、43 年東京帝国大学経済学部卒。在学中に諸井三郎氏に音楽理論を師事。46 年柴田南雄、戸田邦雄らと「新声会」を結成。桐朋学園音楽科設立に参加し、60 年より同理事。文部省視学委員他や音楽著作権協会等の諸役員を務める。日本現代音楽協会及び日本作曲家協議会の委員長。二十世紀音楽研究所を組織し軽井沢現代音楽祭の開催、海外の新しい動向を紹介。

    20C 音楽をたのしむ会、パンムジーク・フェスティヴァル、アジア作曲家連盟、JMLセミナーなど多くの組織や企画に関与。代表作に「小管弦楽のためのシンフォニエッタ」(53 年毎日音楽賞 )、「2つの弦楽器群と管・打楽器のための合奏協奏曲」(57 年尾高賞 )、オペラ「綾の鼓」(62 年ザルツブルク・テレビ・オペラ賞 )、「2 本の尺八とオーケストラの為の Wandlungen」(73 年クーセヴィツキー財団委嘱作品 )、室内オペラ「曾根崎心中」(79 年 ) 等。没後、入野賞(80 年)や ACL 入野義朗記念作曲賞(81 年)が設立され、従五位勲四等旭日小綬章が追授される。

  • 鼎談 入野義朗との思い出を語る

    入野禮子夫人に当時の思い出や曲について伺いました。

    鼎談者:

    入野禮子夫人(音楽教育家・JML 音楽研究所理事長)

    伊藤弘之(作曲家・日本大学芸術学部教授)

    野澤美香(作曲家・入野義朗門下)

     

    ―12音技法との出会い

     

    伊藤:今回のコンサートのサブタイトルは「12音技法のマイルストーン」ですが、入野さんと言えば、12音技法ですね。1951年に書かれた「七つの楽器のための室内協奏曲」が日本人による最初の12音技法の曲ですが、この技法と出会ったのはどういう経緯だったのですか。

     

    入野:第二次大戦のときに外交官だった戸田邦雄先生が、終戦の時にベトナムで捕虜になったんです。

    そこでレイボヴィッツの『シェーンベルクとその楽派』をもらって帰国後に諸井三郎先生門下で同門の入野と、入野の大親友の柴田南雄さんに渡してくれて、一緒に読みました。結局、12音を作品にしたのは入野の方でしたけど。

     

    ―好きに書くと転調しちゃう

     

    伊藤:今回演奏する1943年の「ピアノのための変奏曲」が習作を除くと一番古い作品ですね。

     

    入野:当時は無調なんて知りませんでしたから、その曲は調性音楽で書いたのですけど、自分が書きたいように書くと転調しようと思わなくてもどうしても勝手に転調してしまうらしくって、この曲も面白い転調をしちゃう(笑)。12 音と出会ったときにはこれだ! と思ったみたいです。入野は卒業後、銀行に勤めていたんですけど、シェーンベルクも銀行に勤めてたというのを知って、それにもシンパシーを感じたみたい。彼との手紙も残っているんですよ。
     

    野澤:その後入野先生は12音技法に邦楽器を導入されますよね。邦楽器は一音が担う風景や情緒があるけれども、先生の作品では構造の中の必然の音として書かれているように思います。
     

    入野:邦楽器だからといって、洋楽器とは違うようには書かない。楽譜に万年筆で直に書くんです。ある時から
    忙しくなってしまって下書きなんてする時間がなかったから。書く時は頭の中で作品が出来ていて、一度書いたらその後は必然的に繋がっていくみたい。

     

    ―桐朋学園設立からJMLへ

     

    野澤:先生は桐朋学園の設立にもご尽力されましたね。そんなこともあり、今回のコンサートではたくさんの桐朋出身の若手の方々に演奏をお願いしました。後に設立されたJMLへは私も小学校の頃から通っていました。
     

    入野:入野は7年制国立東京高等学校に通っていたんですけど、語学の授業なんかも毎日あって自然と出来るようになる。そこで受けたような教育をやりたいと思っていたんです。東京高等のお友だちは皆さん天才で、要職につかれた方もいらっしゃいました。その中のお一人が文部省に勤めていて、その交友関係もあって桐朋の短大と4 年制の設立に携わりました。桐朋学園を辞めた後に、JMLという名前で音楽教育活動を始めました。私はソルフェージュ科をつくって。雅楽のクラスもあって、音大生の坂本龍一さんも来ていたらしいです。
     

    ―作品の再発掘


    伊藤:今回の企画は埋もれてしまった作品、CDになっていない作品を掘り起こしました。「パルティータ」は楽譜が大変でした。あると思っていたパート譜がなかったので、今回のためにきれいな形で作り直しまして、これで今後の再演がしやすくなりました。
     

    入野:「フルート独奏」は72年、全音がいろんな作曲家に頼んで、現代音楽の練習になるようにって作った楽譜集の中の一曲です。今回を機に再発掘されてくれるといいですね。そういえばこの前、ウラジオストクに行ったときに現地の方に入野の楽譜を差し上げたら、この曲を吹いてくれたんです。でも四分音を知らないから全然違って。「唇を軽く当ててこうやるのよ」ってジェスチャーで教えたら、2時間かかって最後はかなり分かってくれました。
     

    入野:「四大」は最晩年の作品です。彼が亡くなった後に聴いたら、最初に17 絃でボーンと鳴るんですよ。その音が意識のなくなった心臓の鼓動の音と重なって、これは「死んでいく音楽なのだ」と感じて悲しくなってしまった。書いていた時は元気だったのですが・・・。作曲は体力が要りますからね。最後の大作になる筈だった「あめつちのことば」は4 ページしか残っていません。スコアを病室に置いておいたのですが。入野は言っていました「構想は全部出来ているのだけれど。頭の中に出来ているものをコンピュータが書いてくれるといいのだけれど・・・」。

     

    ( 続きは当日プログラムで!)

  • 演奏者プロフィール

    入野作品を未来へ繋ぐ次世代の演奏家たち

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    田中一結

    ピアノ

    1995年生まれ。2013年、JML日独交流コンサートに参加し、ドイツ各地で演奏する。2015年、Sommer Campus Rostockに参加し、Hamish Milne氏のマスタークラスを受講。現在桐朋学園大学3年に在学中。ピアノを廻由美子氏、打楽器を安江佐和子氏に師事。

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    鷹羽弘晃

    指揮

    2001年桐朋学園大学作曲理論学科卒業。2009年よりパリ・エコール・ノルマルに留学。作曲の他に、多くの初演に携わるなど現代作品を中心に指揮活動も行っている。和楽器とバロック楽器からなる「アンサンブル室町」の指揮では2013年の公演『東方綺譚』が第13回佐治敬三賞を受賞。アンサンブル・コンテンポラリーαメンバー。

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    下村祐輔

    フルート

    広島県出身。武蔵野音楽大学卒業。第34回広島県新人演奏会に出演。これまでにフルートを砂守生子、大代啓二、白尾隆、白尾彰の各氏 に師事。現在桐朋学園大学音楽学部研究科に在籍すると共に、室内楽、 オーケストラの客演などを中心に演奏活動を行っている。

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    鈴木かなで

    オーボエ

    2013年国立音楽大学卒業、同時に管弦楽コースを修了。これまでにモダンオーボエを伊東真紀、杉浦直基、荒絵理子、蠣崎耕三、浦丈彦の各氏に、バロックオーボエを桐山温子氏に師事。現在、桐朋学園大学音楽学部研究生2年目。洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団補助団員、及び準演奏補助要員。

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    前山佑太

    クラリネット

    12歳でクラリネットを始める。東京音楽大学卒業、桐朋学園大学音楽学部大学院研究科修了。クラリネットを日向秀司、亀井良信、野田祐介に師事、室内楽を中野真理、宮本文昭に師事。Jブリス、Jパイツのマスタークラスを受講。Kバレエカンパニーシアターオーケストラトーキョーメンバー。現在日本大学付属豊山高等学校非常勤講師。

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    河野陽子

    ホルン

    東京都武蔵野市出身、都立小平高等学校外国語コースを卒業。9才でホルンを始める。第15回日本ジュニア管打楽器コンクールホルン部門高校生コース銀賞受賞。これまでにホルンを上原宏氏に、室内楽を亀井良信、神田寛明の各氏に師事。現在桐朋学園大学音楽学部三年に在籍中。

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    木村卓巳

    ファゴット

    第15回日本ジュニア管打楽器コンクールファゴット部門高校生コース銀賞。2014年桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)卒業、同高校内卒業演奏会に出演。現在、桐朋学園大学音楽学部3年在籍中。これまでに、山上貴司、武井俊樹、岡本正之の各氏に師事。

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    中澤沙央里

    ヴァイオリン

    桐朋学園大学卒業。国内外の現代音楽シーンにおいて、新作初演や他ジャンルとのコラボレーションに取り組んでいる。これまでに、サイトウキネンフェスティバル松本、サントリー芸術財団サマーフェスティバル等に出演。また、セギカレッジ(マレーシア)、HKNMEモダン・アカデミー(香港)にて客員講師を務めるなど後進の指導にもあたっている。2013年度トーキョーワンダーサイト・レジデントアーティスト。日本・フィンランド新音楽協会会員。

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    佐々木絵理

    ピアノ

    桐朋学園大学音楽学部作曲理論学科作曲専攻卒業。同大学研究科修了。音楽集団「音仙人」のメンバーであり、多数の東京公演の他、韓国公演、慶熙大学校音楽大学でのレクチャーコンサートなども行う。その他、コンポージアム2016、N響メンバーによる名曲コンサート、軽井沢八月祭「街と森の音楽会」などに出演。また「日本名曲アルバム(BS-TBS)」など、編曲作品も数多く手がけており、現在作曲と演奏の両面で活動している。

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    西川竜太

    指揮

    1972年生。東京藝大在学中、声楽科有志と共に、1人1パート編成の声楽アンサンブル「Vox humanaヴォクスマーナ」を創設し、指揮者に就任。クール・ゼフィール(男声)、空(くう)(混声)、暁(女声) の指揮者。成蹊大学混声合唱団常任指揮者。宮城県中新田縄文太鼓(三善晃作曲)伝承会合唱指導。都立総合芸術高校音楽科講師(合唱)。音楽の新しい時代の創造を目指し、作曲家と協力して130作品を初演。2012年、第21回朝日現代音楽賞受賞。

    ホームページryutanishikawa.wix.com/ryutanishikawa

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    ヴォクスマーナ Vox humana

    合唱

    1996年、西川竜太の呼びかけにより、東京藝術大学声楽科有志で設立された1人1パート編成の声楽アンサンブル。声による新しい音楽創造の可能性を探求し、年2回の定期演奏会を開催。2001年より、新たなレパートリーの創造と確立を目指し、新作委嘱を続け、これまでに86作品を初演。ミューザ川崎シンフォニーホール主催演奏会、横浜みなとみらいホール主催Just Composed 現代作曲家シリーズ、日本作曲家協議会・日本現代音楽協会の主催演奏会などに出演。公式サイトhttp://vox-humana.wix.com/vox-humana

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    篠田昌伸

    ピアノ

    東京藝術大学音楽学部作曲科卒業、同大学院修士課程修了。これまでに作曲を尾高惇忠、土田英介、ピアノを播本枝未子、大畠ひとみの各氏に師事。第74回日本音楽コンクール作曲部門第1位、第18回奏楽堂日本歌曲コンクール作曲部門第2位等、受賞。ピアニストとしても、現代の新作初演や、声楽、器楽の伴奏、レコーディング等に関わり演奏活動を行なっている。東京音楽大学、国立音楽大学、日大芸術学部等、非常勤講師。

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    多久潤一朗

    フルート

    東京藝術大学在学時より現代音楽アンサンブル『BOIS』のメンバーとして国内外の作曲家の新作初演を手がけ、ソリストとしてもこれまでに新日本フィルハーモニー管弦楽団はじめ数々のオーケストラと協奏曲を共演した。また『マグナムトリオ』メンバーとしては国内ツアーは元よりイギリスやカナダ、アメリカ、韓国など様々な国の音楽祭からオファーを受け招待公演を行なっている。『Ensemble contemporary α』メンバー。

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    藤原道山

    尺八

    人間国宝・山本邦山に師事。東京芸術大学卒業、大学院音楽研究科修了。CD、映像作品等多数リリース。伝統音楽の活動と共に、最近では野村萬斎氏の舞台「マクベス」の音楽監修やNHK「にほんごであそぼ」にレギュラー出演ほか多方面にわたって活動中。昨年、デビュー15周年コンサート(山田和樹指揮、横浜シンフォニエッタとの共演)を東京サントリーホールにて開催した。公式ホームページ http://www.dozan.jp/

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    黒澤有美

    二十絃筝

    カーネギーホールにてリサイタル、アポロシアターサウンドステージ、Blue Note NY、Silk Road Project Workshop等出演。ハワイシンフォニーオーケストラ大友直人指揮、箏コンチェルト「源氏」で共演。サントリーホール秋のオープニングガラコンサート出演。ヒューストンバレエ新作“TSURU”では、作曲も担当するなど多方面で活動中。

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    本條秀慈郎

    三絃

    本條秀太郎師に師事し本條秀慈郎の名を許される。桐朋学園大学短期大学部卒、故杵屋勝芳壽氏に師事。現代邦楽研究所修了。ACCの助成でNYへ留学。4度のリサイタル。くまもと全国邦楽コンクール最優秀賞、文部科学大臣賞。文化庁芸術祭新人賞。出光音楽賞。宇都宮エスペール賞。東京オペラシティ財団B→C。 桐朋学園芸術短期大学非常勤講師。新しい作品の委嘱等三味線音楽を追求し続けている。

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    平田紀子

    十七絃筝

    深海さとみに師事。東京藝術大学卒業。
    在学中に宮城賞、卒業時にアカンサス音楽賞・同声会賞受賞。宮城道雄記念コンクール・賢順記念くるめ全国箏曲祭コンクールで一位受賞。古典音楽と現代音楽の演奏を主な活動とし、「邦楽四重奏団」での公演、作曲家グループの作品発表会での演奏などを通して邦楽器の魅力と音楽性を発信することに力を入れている。東京藝術大学教育研究助手。

  • チケット予約・お問合せ

    チケット発売中!

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    東京コンサーツ(問合せ先)

    03-3200-9755 (平日10:00-18:00)

    Webチケット

    http://www.tokyo-concerts.co.jp/

    東京コンサーツのHPで予約して、セブンイレブンで支払・チケットの受取ができます

     

    東京オペラシティチケットセンター
    TEL. 03-5353-9999(10:00~18:00)
    http://www.operacity.jp/

    カウンター受付=東京オペラシティビル3階(11:00 ~19:00 月曜日、8月第一日曜日を除く)